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古来より存在する「眼鏡」。一時はコンタクトレンズが大流行しましたが、近年様々な利点によりその利用法が見直されつつあります。また、最近街中で目を引く「眼鏡っ娘」。眼鏡を掛けるだけでなぜ可愛く見えるのでしょうか。今日のクローズアップ現代は世界を侵食する『眼鏡っ娘』の魅力について迫ります

年刊三本ローラを作る02号:強度設計の基礎の基礎

強度設計は機械のどの分野?

機械工学では熱力学・流体力学・機械力学・材料力学の4つの力学は四力と呼ばれ、機械工学の基礎力学として重要性が非常に高い分野であると言われています。ざっくり分野説明すると

  • 熱力学(熱力):圧縮や膨張に関わる仕事量やエントロピーの変化を解析する
  • 流体力学(流力):物体の周りの流れや圧縮時の挙動、流体自体や流体がさせる仕事を解析する
  • 機械力学(機力):物体の振動
  • 材料力学(材力):どのくらいどうしたら壊れるか

こんなかんじです。加熱・発熱・排熱をしない、ポンプを使わない、振動を気にしなくていい設計の場合、使うのはほとんど材力のみです*1

スクラップアンドスクラップ

今日では一部の材料で結晶構造の解析による予想強度と実際の強度が一致するようになりました。しかし、まだまだ多くの材料では破壊強度などは実際に壊して確認するしか方法がないというのが現状です。

つまり、全部なんでも、ぶっ壊すのです。スクラップアンドスクラップ。それが機械の道なのです。
業が深い。

さておき、材料力学の分野では材料に加わる力を解析します。この加わる力と材料が壊れる力が一致したとき、その部材(部品)は壊れます。

材料力学では、必ず応力σ(シグマ)を扱います。応力は圧力と同じ次元(~単位)をもつ量です。力をP、力を受ける断面積をAとしたときに

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で表されます(図1)。単位は[Pa]ですね

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図1 応力の働き方

はりのあるお話

材料力学では、ほとんどの構造部材の計算を図1のような棒材(断面形状は任意)と「はり」の組み合わせとして考えます。「はり」というと一般に家屋の構造を保つために使われてる部材のことを指しますが、材料力学では

断面に比べて軸線方向の寸法の大きい部材が適当な方法で支持され、軸線に垂直な荷重や偶力を受ける時、この部材をはりという。言い換えれば曲げを受ける細長い部材がはりである。

と定義しています。はりの支持方法には三種類あります。図2--4に模式図を載せました。

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図2 移動支点
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図3 回転支点
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図4 固定支持

この内、移動支点と回転支点は、単純支持と呼ばれます。

各支持方法によって、色々考慮しなければならない力と無視して良い力が発生します。

まず、各支持方法において作用する外力(負荷による力)をWとします。
単純支持移動支点の場合は、Wによって床からの垂直反力Rが生じます。単純支持回転支点の場合は、床からの反力に加えて、軸方向への移動ができないため軸方向(アキシャル方向)に水平反力Nが生じます。
固定支持の場合、端部を完全に固定しているため、支点部分では移動も回転もできません。そのために支点には反モーメントとしてMが作用します。
なお、外力Wが軸方向に作用していない場合は水平反力Nを無視して取り扱って構いません。実際の設計でも、はりが使われる部材ではできるだけ横方向の荷重のみになるように設計するため、軸方向の荷重は考えなくてもよく、移動支点と回転支点は特に区別しないことが多いです。

はりの計算においては、この3つの支持の組み合わせ*2によってはりの種類が区別されます。

はりの種類は

  1. 片持ばり
    はりの片方が固定支持もう片方が自由端(支持がなく開放状態)になっているはり。固定端では変位、角度がゼロ(曲がらない)となる。回転がないため反モーメントを考える
  2. 単純支持はり
    片方が回転支点・もう片方が移動支点となっていて、支持部においては変位はゼロであるが角度を考える
  3. 両端固定ばり
    両端が固定されているため、両端で変位ゼロ、角度もゼロとなる
  4. 連続はり
    支点が2つを超えるはり

の4つに分けられます。

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図5 片持ばり

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図6 単純支持はり

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図7 両端固定ばり

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図8 連続ばり

はりの支点と支点の間の距離をスパンといいます。スパンには極めて狭い範囲に集中的に作用する集中荷重と、一定の範囲に分布する分布荷重が作用します。橋もスパンがありますね。明石海峡大橋はスパンの長さが世界一、すなわち、世界で一番長い橋です。

さて今号では、応力とはりの種類についておさらいしました。機械系専攻の学生ならば基礎的なことですが、半年くらいかけてやることを色々とすっ飛ばしてここまできました。
次号もお楽しみに。

そんなことより

誰得なんだ?この企画?

(出典)
中島正貴, 材料力学 機械系教科書シリーズ, 2010, コロナ社, pp65--67

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*1:トライボロジや破壊力学を除く

*2:実質2つですが