年刊三本ローラを作る03号:片持ちはりに働く集中荷重
本号から次号にかけて、片持ちはりに働く力について説明したいと思います。
片持ちはりに働く集中荷重
片持はりとは、前号で示したとおり図1の様に片方が固定端支持、もう片方が開放端になっているはりのことです。
片持ばりでは、この固定端支持から開放端までのどこかに集中荷重か分布荷重、あるいはその両方が働いています。
ではここで、図2のような開放端に集中荷重がはたらいている片持ばりについて考えます。
ここで、計算をしやすくするために、開放端からある程度の距離\(x\)までを切り取って考えます(図3)。
はりが平衡状態にある*1ときは、
- はりに作用している力の総和はゼロ
- はりのすべての点におけるモーメントの総和はゼロ
の2つの条件が満たされています。
固定端には荷重\(W\)が作用しているので、この2条件を満たすには、荷重\(W\)に対して内部に釣り合う力と釣り合うモーメントが作用していなければなりません。
荷重\(W\)に釣り合う内部のせん断力を定義し、これを\(S\)とおきます。
同様に荷重\(W\)によって発生するモーメントに釣り合う内部のモーメントを定義し、これを\(M\)とおきます。
また、切り取る断面と、見る方向によってせん断力\(S\)の正負が入れ替わる性質があります。面倒なので、本ブログでは図3のように、
切り取る断面を右から見るときに下向きのせん断力を正、反時計回りのモーメントを正
とします。
釣り合いの条件より、
\[S=-W\]
\[M=-Wx\]
となります。
荷重\(W\)によって発生するせん断力\(S\)は開放端から固定端まで一定ですが、モーメント\(M\)は固定端に行くにしたがって線形的に大きくなります。
言葉で言ってもわかりにくいので、図示します。
せん断力を表したグラフをSFD (Shearing Force Diagram)、曲げモーメントを表したグラフをBMD (Bending Moment Diagram)といいます。
やはり図示すると一目瞭然ですね。
*1:外力が加わっている状態でも移動や回転をしない